岡山でも、「ハンセン病問題基本法」制定への取り組みが始まっていることは、すでにお伝えしています。
しかし、なぜ、いま新法か? この点について、あらためて説明します。
国立のハンセン病療養所の入所者は、本年5月1日現在で2890人、平均年齢も79歳に達しています。10年後には激減すると推定されています。
しかし、国は、いまだに、医療や看護問題とともに、療養所の将来をどう考えているのか、何の展望も示そうとしていません。
2001年の熊本判決以降、政府と統一交渉団(原告、弁護団、全療協)の間で行われている「ハンセン病問題対策協議会」で、国は誤った隔離政策による被害者に対する法的責任に基づいて、入所者の意思に反して転園させないこと、療養所では、社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するため入所者の生活環境及び医療の整備を行うよう最大限努めることを約束しました。
しかし、入所者の減少とともに療養所の医療・看護の職員定員を削減しているのが現実です。入所者の減少とともに医師も来なくなりつつあります。
このままでは、近い将来、療養所が医療機関として存続することが困難となり、少数の入所者が地域社会から孤立していくことは目に見えています。
療養所を、入所者が安心して生活できる場とするためには、多目的な施設として、地域や社会に開かれた施設にすることが必要です。
しかし、「らい予防法の廃止に関する法律」は、療養所は入所者だけの医療施設として規定しており、前述のような開かれた施設にすることはできないと、政府関係者は言明しています。
そこで、全療協を中心として、ハンセン病違憲国賠訴訟原告団、弁護団、支援者等により「療養所の将来構想をすすめる会」が結成され、あらたな法律(ハンセン病問題基本法)の制定に取り組むことになりました。
これまで、国が約束してきたことを法律にすることで国の責任を明確にするとともに、療養所の将来構想問題についての法律上の障害を除去することを求めていかなければなりません。
この運動が成功するためには、政府や立法府への働きかけのみでなく、ひろく一般市民の理解と支援が不可欠であり、重要だと考えています。
中央の「すすめる会」とは別に、岡山県レベルでも、「ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会」(代表:高瀬重二郎)を立ち上げました。先日の岡山弁護士会館での記者会見以降、マスコミも強い関心を示してくれており、さらに一般市民の理解と支援が広がることを願っています。
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