愛生園の夏祭りの日、愛生歴史館を訪れた方から、展示室の年表で1300年代、ハンセン病減少とあるのは、どういう理由によるのですか、との質問がありました。
中世ヨーロッパで猛威をふった黒死病(ペスト)により、ハンセン病が壊滅にいたったと言われているようです。
腺ペスト(Bubonic Plague;Black Plague,Black Deathとも呼ばれる)は、1346年頃に、モンゴルの草原で流行が始まり、1347年に、クリミヤ帰りのイタリアの船舶に乗ったペスト菌が、シチリア島にある豊かな貿易港メッシナに上陸し、その後、またたくまに、ヨーロッパと北アフリカに広まった。
1346年から1350年のあいだに、ヨーロッパの総人口(2~3000万人)の少なくとも3分の1が黒死病で命を落としたと言われている。
一方、ヨーロッパではそれほど知られていなかったハンセン病は、ヨーロッパの都市が興隆するのを追って登場し、1200年ころにピークを迎えた。
このヨーロッパのハンセン病は、1346年の黒死病の襲来とともに姿を消した。なぜ、このような減少がおきたかについては確かなことはいえないが、いくつかの仮説が提起されています。
たとえば、黒死病が都市の人口密度を低下させ、それによって人間どおしの接触が減ったためであるとか、黒死病に耐えて生き残った人たちの免疫系の能力が、ペスト菌やらい菌を含む広い範囲の細菌に抵抗力があった。それらに加えて、ハンセン病に感染しやすかった人たちは、それ以外のさまざまな細菌の感染もうまく防御できず、大疫によって亡くなった等。
手元にある「LEPROSY(hansen`s disease)」(Karen Donnelly)という小さい書物等には、このように説明されています。
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