"書籍・映画"カテゴリーの記事一覧
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姜信子さんの「今日,私は出発する ハンセン病と結び合う旅・異郷の生」(解放出版社)を読みました。
同書の冒頭で,次のように書かれています。
「ハンセン病をめぐる問題に出合い,その問題の生まれてくるその根本のところが,自分自身にとってひどく切実で大切なことに感じられた。」「その切実で大切なことを自分なりに考え抜き,それを語るための借り物ではない言葉を探り当てたいと思い,ハンセン病という病(人間関係を蝕んでいく社会的な病という意味合いを含みこんだ「関係性の病」)を生きざるをえないところに置かれた方々を療養所に訪ねることになった。」
こうした療養所への旅のなかで出会ったハンセン病回復者5人の方々との対話を中心に構成されています。ぜひ手にとってみてください。
姜信子さんは,韓国のソロクトを舞台とした季清俊の小説の翻訳書『あなたたちの天国』(みすず書房)を出版されています。
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荒井英子さんの『弱さを絆に ハンセン病に学び,がんに生きる』を読み,多くの示唆をえるとともにとても感銘を受けました。
本書は,2011年11月20日に,教文館から刊行されました。
荒井英子さんは,2001年から,恵泉女学園大学人文学部(後,人間社会学部)専任講師を経て,准教授を歴任されましたが,2010年に逝去されました。享年57歳。
1999年に,岡山でハンセン病国賠訴訟に取り組みだした頃に,荒井さんの『ハンセン病とキリスト教』(岩波書店,1996年)を読み,とても感銘を受けたことを覚えています。
新著『弱さを絆に』には,2010年11月に急逝された荒井さんの遺稿集で,『ハンセン病とキリスト教』以降に公刊した9編の論文,卵巣がん発症前後5年間に公にした,エッセイ2編,チャペルアワー・礼拝メッセージ7編,講演2編が収録されています。
冒頭のエッセイの最後に書かれています。
「死」を悟ることは「生の充実」を悟ることでもあった。だから再発の兆候が現れたときも,「がんと共生」していくことに何の躊躇もなかった。と同時に,ハンセン病医学でもライ菌を撲滅するのではなく,ライ菌とともに生きていく方向をとっていれば,あのような非情な「病棄て」は不要であったものをと,改めて療養所の友たちの「人生被害」に思いを馳せた。
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山下道輔著・柴田隆行編の「ハンセン病図書館 歴史遺産を後世に」が,日本評論社から発刊されました。
「ハンセン病図書館」は,国立療養所多磨全生園にありました。
図書館設立構想が具体化したのは,多磨全生園入所者自治会が再建された翌年(1969年)に遡ります,この年は,多磨全生園創立60周年にあたる年であり,60周年記念事業として,自治会役員とされていた松本馨さんが,「ハンセン病のこれまでの苦難の歴史を綴った患者の書いたものが広く役立つ時代がきっとくる。そのために資料を保存する施設を造ろう」と提案したことに端を発します。その後,ハンセン病資料の収集・整理を実際に担当されたのが,本書の著者の山下道輔さんです。
1977年春,当時自治会長であった松本馨さんは,「いのちの初夜」を書いた北條民雄氏がかつて住んでいた「秩父舎」の跡地に,ハンセン病図書館を建設にこぎつけました。
そして,多磨全生園内に併設されていた「高松宮記念ハンセン病資料館」から,現在の「国立ハンセン病資料館」にリニューアルオープンすることになったことを契機として,多磨全生園入所者自治会は、「ハンセン病図書館」を閉鎖し、資料をすべて国立ハンセン病資料館に移管することを決議しました。
その結果,国立ハンセン病資料館のリニューアルオーブンから1年が経過した2008年3月末をもって,ハンセン病図書館は,閉鎖されました。
本書には,「ハンセン病図書館」設立にかけた松本さんや,その意志を継承した山下さんの思いや苦労,ハンセン病療養所における図書館の役割などが,くわしく書かれています。
是非,一読してみてください。
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10月29日(土) 岡山県総合福祉会館1階で,布施辰治生誕130年 ドキュメンタリー映画「弁護士 布施辰治」の上映会が,あります。
ぜひご覧下さい。
生きべくんば民集と共に,死すべくんば民集のために
100年前,韓国を強制併合した日本,それは徹底した人権抑圧の時代であった
「一人だって見殺しにされていい人類などない」
私たちへ「生きるとは何か」を語りかける
(上映会 ビラより)
キャスト:赤塚真人/浅野允之/石沢真由子/大木章 ほか
ナレーター)湯浅真由美
朗読)中村雅俊/浜名美貴 ほか
監督・脚本) 池田博穂
撮影)野間健
音楽)小六禮次郎
制作)Office池田
上映時間:10月29日10時30分と14時の2回です。
場所:岡山県総合福祉会館
入場券:前売り1000円,当日1200円,高中学生700円
「布施辰治」岡山県上映実行委員会 連絡先 国民救援会:086-254-2799
布施辰治ドキュメンタリー映画公式ホームページ
http://www.fuse-tatsuji.com/
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「原爆症認定集団訴訟のたたかいの記録 明らかにされたヒバクの実相」が,日本評論社から刊行されました。
8月17日の朝日新聞朝刊の,大江健三郎さんの『定義集』の,「庶民 生きのびる力を得る」―広島・長崎から福島へ向けて」という文章でも,この記録集に触れておられます。
ぜひ,書店で手にとってみてください。
原爆症認定集団訴訟・記録集刊行委員会 編
ISBNコード978-4-535-51847-6 発刊日:2011.08
判型:A5判上製 ページ数:1158ページ
定価:税込み 15,750円(本体価格15,000円)
日本評論社HP
新刊書籍案内
http://www.nippyo.co.jp/book/5674.html
大江健三郎氏の推薦文「隅ずみまで明快で,偉大な本」
http://www.nippyo.co.jp/http://www.nippyo.co.jp/ -
廣川和花氏の「近代日本のハンセン病問題と地域社会」が,大阪大学出版会から出版されています。
- ハードカバー: 332ページ
- 出版社: 大阪大学出版会 (2011/3/10)
- ISBN-10: 4872593782
- ISBN-13: 978-4872593785
- 発売日: 2011/3/10
- 商品の寸法: 21.4 x 15.2 x 2.6 cm
廣川氏は,同書について,
(1)ハンセン病史を単に国家の政策過程の歴史あるいはそれによる被害の歴史としてとらえるのではなく,法制度に基づく処遇決定のしくみとその地域的な差異をあらためて問い直し,さらにその差異を生んだ諸条件を分析することに,病者の「生存」とそれを規定する地域の問題として位置づけること,
(2)療養所送致という瞬間的な局面や送致先の療養所内での病者の処遇のみを問題にするのではなく,法の下でも可能であったはずの多様な選択肢としての「療養形態」の可能性に着目し,それを含むハンセン病「医療環境」の下での病者の「生存」と隔離の内実を問うこと,以上の二点を主な検討課題として,ハンセン病の「病者の社会史」を描き出すことを目指した,と述べています(24ページ)。
第一章 「ハンセン病者の処遇に関する法制度の再検討」では,
戦前日本におけるハンセン病者の処遇に関与する各府県の関連法制が,地域ごとに差異が認められることに留意しつつ,法に定められている地域におけるハンセン病者の処遇がどのように決定されたのか,そのプロセスについて論じています。
これまで,あまり具体的に検討されることの少なかったテーマですが,重要な視点だと思います。
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- 三重テレビ放送のニュースデスクの小川秀幸さんの「ローカル局のこころ 三重テレビ取材帳」が、刊行されました。
小川さんの取材対象者へのまなざしの優しさが滲み出している作品です。
- 単行本: 191ページ
- 出版社: 風詠社 (2011/06)
- ISBN-10: 4434157078
- ISBN-13: 978-4434157073
- 発売日: 2011/06
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岡山県が編纂したハンセン病関係資料集「長島は語る」が、岡山県のHPで見られます。全国でも、県が独自に行ったハンセン病問題の検証作業としては、特筆すべきものだと思います。無らい県運動の歴史を含め、貴重な記録が収録されています。
ぜひ、ご覧下さい。
他県でも、ぜひこのような取り組みをしてほしいと思います。
「長島は語る」
http://www.hansen-okayama.jp/comm/kataru.html