"ハンセン病・非入所者遺族訴訟"カテゴリーの記事一覧
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2013年2月8日(金)16時から,鳥取地裁民事部合議係(遠藤浩太郎裁判長)で,ハンセン病・非入所者遺族国賠訴訟の第14回口頭弁論が開かれ,その後,進行協議が行われました。
被告(国及び鳥取県)からは,原告第6準備書面及び第8準備書面に対する,反論の準備書面(第7準備書面)が提出されました。
「原告は,非入所患者の子として,国のハンセン病隔離政策のもとで差別偏見を受ける地位に置かれ続ける一方,原告や亡母に対する公的援助は皆無であった」との原告の主張に対して,
被告国及び鳥取県は,
「非入所患者は就労する場合もあるから一概にハンセン病患者の家族が生計困難になるとはいえないし,仮に生計困難に陥った場合には,生活保護を受けることも可能だった。」
「非入所患者の相当数は外来診療を受けていたのであり,非入所患者が一般の医療サービスの対象外であったとはいえない。現に,複数の国立大学のほか,県及びその他の診療機関で診察を受けていた事実がある。」
「被告らは,ハンセン病患者の家族らに対してその偏見差別が及び,かつそれが極めて深刻な被害を生じせしめていることを十分認識していた事実がないのであるから,被告ら(国及び県)に偏見差別を除去する義務があるとか,被告らが,その義務に違反したとは認められない。」
というものです。
非入所者及びその子らが,国のハンセン病隔離政策のもとで,いかに辛く過酷な状況に追い込まれながら生活してきたかという現実を直視しようとしない,国や県が姿勢は何ら変わっていません。
次回には,原告側からも反論の準備書面を提出します。
次回以降の予定は以下のとおりです。
第15回口頭弁論 3月15日(金)11時00分~11時30分
第16回口頭弁論 5月10日(金)14時30分~15時30分
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7月13日(金)16時から,鳥取地裁で,ハンセン病非入所者遺族訴訟の第10回口頭弁論が開かれました。
本件は,ハンセン病の非入所者の子が,国と鳥取県に対して,らい予防法及びハンセン病隔離政策によって被った被害について,国家賠償を求めている訴訟です。
第10回口頭弁論では,原告側から,被告が第3準備書面で述べている「消滅時効」の主張に対する,反論の準備書面を提出しました。
国(厚労省)は,2011年の熊本判決後,統一交渉団との間で,被害者に対して賠償一時金を支払う基本合意書を2つ締結しています。
基本合意書1は,入所者及び入所者の遺族について,基本合意書2は,生存している非入所者に対し,それぞれ賠償一時金を支払うことを合意しています。
しかし,基本合意まえに死亡した非入所者の相続人が,損害賠償請求権を相続等により承継した場合を対象としていません。したがって,非入所者の遺族らは,まったく救済の外に置かれてきました。
国や鳥取県は,非入所者の承継人や非入所者の家族固有の損害についても,前記合意書の趣旨から当然に救済を受ける権利が発生したとか,あるいはこれらの権利を行使することが可能であるなどと,これまで公式あるいは非公式に表明したことはありません。
また,抜本的な偏見差別解消策をとることもしていません。
それにもかかわらず,国や鳥取県は,仮に損害賠償請求権があるとしても,もはや時効で消滅していると主張しているのです。
被害者が提訴できない状況を作り上げ,継続している加害者が,消滅時効を援用すること自体,信義則上許されないものであり,時効援用権の濫用というしかないと思います。
鳥取地裁での第11回口頭弁論期日は,9月12日(水)10時00分から10時30分です。
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5月18日(金)16時30分から,鳥取地裁で,ハンセン病・非入所遺族訴訟の第9回口頭弁論が開かれました。
今回,原告側は,第6準備書面を提出しました。同書面は,原告を含む非入所者の子の被害の内容及びその被害はハンセン病隔離政策による政策被害であること,並びに,かかる被害を生じせしめた被告ら(国,鳥取県)の注意義務違反について検討したものです。
被告国・鳥取県からは,第3準備書面が提出されました。2010年4月の提訴から2年を経過して,ようやく反論の書面を提出してきましたが,その内容は,ハンセン病隔離政策による非入所者の家族には固有の被害を認めず,仮に損害があったとしても,非入所者に生じた損害賠償請求権を承継したものも,原告固有の損害賠償請求権も,平成14年1月29日からそう期日をおかない頃に,いずれも消滅時効が成立しているなどという内容です。
被告らの主張の要点は,次のとおりです。
「原告の亡母に関して生じた損害とは別に,原告に固有の損害は発生したことを裏付ける具体的な事実があったとは認められず,仮に原告が主張する事実が認められるとしても,それをもって原告に固有の損害が生じたものと評価できるものではない。」
「また,原告において亡母に生じた損害賠償請求権を相続により承継したものに加え,仮に固有の損害賠償請求権を有しているとしても,それらの各損害賠償請求権は,いずれも既に時効により消滅していることから,原告の請求は理由がない。被告らは,本準備書面において上記消滅時効を援用する。」
消滅時効の起算点については,つぎのように主張している。
「平成14年1月28日には,ハンセン病療養所への入所歴のない者をも対象として基本合意書Ⅱに沿った合意がされ,その事実が原告が居住する鳥取県内においても広く報道されていたのであって,一般人であれば,ハンセン病療養所への入所歴ない者をも対象とする基本合意書Ⅱに沿った合意が締結された旨の報道に接すれば,亡母と同様に入所歴のないハンセン病患者又は元患者との関係(それらの承継人又は親族との関係も含む。)においても,国の隔離政策等が違法であったことを認識できたというべきである。」
「原告の場合においても,平成14年1月29日からからそう期日をおかない時点で,報道等を介して基本合意書Ⅱに沿う合意が成立した事実を知ったものと推認するのが相当であって,その時点で国及び県の加害行為は違法であることを認識できたというべきである。」
「ただし,被告らは,上記消滅時効の援用にかかわらず,平成14年1月28日,被告国とハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会との間において成立した基本合意の内容に沿って,原告の間において和解を行う意思があることを念のために申し添える。」
原告側は,次回に,被告らの第3準備書面に対する反論の準備書面を提出する予定です。
(今後の予定)
第10回口頭弁論 7月13日(金)16時~
第11回口頭弁論 9月12日(水)10時~
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3月22日(木)16時30分から,鳥取地裁(遠藤浩太郎裁判長)で,ハンセン病・非入所遺族訴訟の第8回口頭弁論が開かれました。
原告側からは,ハンセン病治療法の変遷,及び,原告の母が,阪大皮膚科別館で受けていた診療,投薬,検査等の具体的内容について説明した第5準備書面を提出した。
原告の亡母は,阪大皮膚科別館で,ハンセン病の治療を受けていたが,そこでの医薬品費等については,健康保険が使えず自己負担であったうえに,ハンセン病における末梢神経障害や眼症状の治療のために,一般薬局で大量のアリナミンや目薬等も購入しなければならず,亡母や原告には,それらの経済的負担が大きくのしかかっていた。
次回に,原告のこれまでの準備書面で展開した主張に対する,被告らの具体的な反論書面がようやく出されることになった。
次回期日は,5月18日 16時30分と決まった。
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1月27日(金)午後4時15分から,鳥取地裁民事合議部で,ハンセン病非入所者遺族による国家賠償請求訴訟の第7回口頭弁論が開かれました。
本件訴訟は,ハンセン病隔離政策を推進してきた国と県に対し,ハンセン病患者であった者の子が自らが被った固有被害に基づき,国家賠償を求めています。
非入所者の遺族が初めて,裁判所の司法判断を求める裁判でもあります。
原告側からは,第4準備書面を提出しました。
本書面では,
①国のハンセン病患者の絶対隔離・患者絶滅政策がハンセン病患者・元患者の子や家族をどのように位置づけていたのか。
②その結果,これらの者に対して,どのような被害を与えたのか。
③そして,原告が,母の発病後,母親とともに辿ってきた人生を振り返り,原告が被った固有の被害や損害がどのようなものであったか。
等に述べています。
次回は,被告国,鳥取県において,原告固有の被害・損害についての反論の準備をすることになりました。
次回期日は,2012年3月22日(木)午後4時30分
次々回期日は,2012年5月18日(金)午後4時30分
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11月4日(金)午後3時から、鳥取地裁で、非入所者遺族訴訟の第6回弁論と進行協議が行われました。次回期日は,平成24年1月27日(金)午後4時15分です。
この日,被告国・鳥取県からは、第2準備書面が提出されました。
その中で,被告鳥取県は,ハンセン病に関する施策は,国とは別個に鳥取県独自の法的責任が存するとは考えていないとし,その理由として,県は,平成8年のらい予防法が廃止されるまで,同法に基づき被告国の機関委任事務として行った行為として行ったものである。昭和35年以降において,県が独自の政策でハンセン病の差別を助長したことはないなどと主張しています。
原告側からは、代理人らが作成した、原告が母親の発病以来、原告が家族として送ってきた人生や国のハンセン病政策により受けた被害について聴取した陳述録取書を提出しました。原告も約10分、ハンセン病患者(非入所者)の家族として、いかに日が当たらない状況に置かれてきたか、その心情などを語りました。
国は、長年にわたるハンセン病隔離政策により、深刻な被害を非入所者の遺族に対し与えたことについては、いまだに明確な謝罪も行うことなく、従って、裁判上もこれらの人たちについては被害回復の措置を執っていません。
入所者の遺族と同様に、非入所者の遺族についても、国の法的責任に基づき被害回復がはかられるまでは、ハンセン病問題が全面解決したとはいえないと考えています。
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9月1日,鳥取地裁(民事部合議係)で,非入所者遺族訴訟の第5回弁論期日が開かれました。
この訴訟は,ハンセン病療養所に入所することなく,しかし国や地方自治体のハンセン病政策によって作り出された差別や偏見に晒されながらも,社会内で生き,そして亡くなった母親の遺族(子)が,国と県を相手に国家賠償を請求しているものです。
非入所者の遺族による訴訟,そして地方自治体の法的責任を問う訴訟は,全国で初めての裁判です。
原告側は,県の法的責任を明らかにするため,国のハンセン病政策のもとで,地方自治体が,どのように関わってきたのかを,具体的に明らかにしたいと考えています。
これまで,無らい県運動に関する国と地方自治体の関係について,具体的に個別の県レベルでの研究や検証はあまりなされていないようです。
今回も,この裁判に関心をもって支援をしてくれている方々が,東京や大阪からの遠路の方々も含め,傍聴に来てくれました。本当に感謝します。