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8月5日、6日、 ハンセン病市民学会組織委員会(8人の共同代表、17人の運営委員、事務局長,事務局次長)の合宿が岡山市内で開催され、5日夕方からの懇親会と6日午前中の会議に、現地実行委員会準備会関係者ということで瀬戸内3園の入所者自治会会長とともに「ゆいの会」を代表して私も参加しました。
市民学会では、昨年から、毎年夏に組織委員会の委員のうち参加できるメンバーによって、翌年の交流集会の場所で合宿を行い、メンバー間相互の関係を深めること、市民学会の課題について検討すること、現地実行委員会の主だったメンバーと意見交換の場をもちながら、翌年の企画について検討することにしているとのことです。交流集会の企画については、組織委員会のメンバーの中で企画委員会を設置して、組織委員会に提案をすることに仕組みになっているそうです。
9月6日午前中の会議には、企画委員会によって作成された原案となるたたき台が提案され、参加者の間で活発な議論が行われた。
今後、10月末頃に予定する市民学会の企画委員会において、6日の議論を踏まえ、さらに企画案を詰めることになった。遠藤事務局長からは、11月3日の現地実行委員会までに、テーマ人選などを確定することは難しいとの見通しが述べられた。
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第17回ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再犯防止検討会が、8月28日に開催されました。
今回の議事録はまだ公表されていませんが、第1回から16回までの会議資料、議事録は、同検討会事務局ホームページでご覧になれます。
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私がもう一人の弁護士とともに、岡山地裁、広島高裁岡山支部、最高裁と争っていた、ある傷害致死事件(否認事件)。
この事件において、弁護側が行った私的鑑定の費用の支払いを法テラスが拒否した件について、岡山弁護士会が、2009年(平成21年)8月24日付で、日本司法支援センター(法テラス)の国選弁護の報酬及び費用の支払いに関する会長声明を発表しました。http://www.okaben.or.jp/iken/20090824.htm
(会長声明)
本年5月21日から従来からの国選弁護制度に加えて、被疑者国選弁護制度の対象事件が大幅に拡大し、当会を含む全国の多くの弁護士が、国選弁護人として憲法で保障された被疑者及び被告人の権利擁護のために全力を尽くしているところである。
2006年10月2日には、日本司法支援センター(以下「法テラス」という。)が、国民の司法へのアクセスを保障し、「法の支配」を社会の隅々にまで行き渡らせ、自由で公正な社会を形成することを目的として、その業務を開始した。
刑事事件の国選弁護人に対する報酬及び費用に関しては、事件終了後、国選弁護人が法テラスへ報酬及び費用請求を行い、法テラスにおいて、国選弁護人に対する報酬及び費用の支払いの可否及びその額を決定し国選弁護人へ通知するというシステムとなっている。
これに関連して、先般、捜査段階から一貫して被告人が否認している傷害致死事件の控訴審において弁護を担当していた国選弁護人(当会所属弁護士)が、法医学者に依頼して作成させた私的鑑定書の作成費用及び同鑑定書と一体となったレントゲン写真複写やカルテ取寄等の費用の支払いを法テラスに求めたところ、法テラスが、支払い項目にないという理由により支払いを拒否するという事案が生じた。同事案にあっては、検察官からは複数の鑑定が提出され証拠採用されており、弁護人提出の上記私的鑑定書も証拠採用されている。
刑事事件において、真実を発見するために、専門家の鑑定を必要とすることはしばしば生じる。本件におけるように否認事件で、検察側から複数の鑑定が提出されているような場合には、弁護側において検察側鑑定書の信用性を弾劾するために、専門家による私的鑑定書を提出する必要性は一層高まるといえる。
しかるに、私的鑑定費用等について支払いがなされないのでは、その依頼を断念せざるを得ないことになり、国選弁護における弁護活動が著しく制約されることは自明である。その結果、真実発見が困難になることはもとより、憲法及び刑事訴訟法で保障された「弁護を受ける権利」の保障が不十分なものとなりかねないのであって、誠に憂慮すべきことである。
当会は、私的鑑定費用等について、国選弁護に伴う費用として支払うことが可能となるよう法テラスにおける運用の適正な見直しないし所要の法令等を改正する手続きを速やかになすよう関係方面に対し強く求めるものである。
2009(平成21)年8月24日 岡山弁護士会 会長 東 隆司
法テラスの支払い項目では、刑事記録の謄写費用や遠距離接見等交通費・出張旅費が定められていますが、これも一部しか支払われません。
それ以外には、訴訟準備費用として、①診断書作成料、②23条照会の利用料、③判決書謄本の交付手数料につき、総額3万円を限度として実費が支給されるだけです。しかし、これでは、国選弁護人が、被告人のための十分な弁護活動ができないことは明らかです。無罪、冤罪を争う事件で、国選弁護人が、法医学者等に私的鑑定書の依頼作成し、裁判所において弁護側証拠として証拠採用されたとしても、一切、その費用は支払わないというのが、現在の日本司法支援センターの見解です。
従って、国選弁護人は、鑑定費用等については持ち出しを覚悟して、被告人のために、弁護活動を尽くすか、それともそうした立証活動を断念するかの二者択一を迫られます。その結果、国選弁護人が後者を選択した場合には、経済力に乏しく私選弁護人を選任できない被告人は、憲法や刑事訴訟法で保障されている「弁護を受ける権利」を実質的に奪われるに等しい結果となることが予想されます。
なぜ、国選弁護人の立証活動のための実費として、弁護士法23条の照会利用料と診断書作成料に限定するという不合理な支払い項目ができあがったのか、不思議でなりません。日弁連や各単位会等においても、早急にこのような法テラスの支払い項目の定めが改善されるように、取り組む必要があると考えます。
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平成21年度第6回ハンセンボランティア「ゆいの会」運営委員会が、8月27日午後7時から開催された。
出席:近藤、金田、則武、出井、志賀、宮本、岩田、牧野、呉、山本
議題;
1 報告事項
(1)夏祭り(邑久光明園)ボランティア
参加者:ゆいの会会員12名、「ぼらばん」のメンバー、藤田保健衛生大学の学生さんらが合流。
(2)ハンセン病市民学会総会・交流集会in瀬戸内 第1回実行委員会準備会
19団体、48名の参加を得た。
2 協議事項
(1)来年5月8日・9日に岡山で開催される「ハンセン病市民学会総会・交流集会in瀬戸内」での基調報告、シンポ、分科会に提案したい事柄について
ハンセン病市民学会共同代表でもある牧野正直さんから、現地実行委員会としてのプログラム案が示され、検討。
統一テーマとしては、「島は語る」として、基調報告として、「岡山県ハンセン病施策のあゆみ」を岡山県ハンセン病問題対策協議会会長の南先生に報告してもらう案が提案された。その他の基調報告として、瀬戸内3園に関連するテーマを取り上げたい。
2日目(2010年5月8日)午前中に、長島愛生園と邑久光明園の会場で行われる分科会として、①ハンセン病家族の国際連帯、②ボランティアの実情、③啓発活動の在り方の検証などのテーマを取り上げたい。
基調報告、分科会等のテーマ等については、今後、市民学会事務局との調整が必要となる。
2日目(2010年5月9日)午後の各部会企画のほかに、現地企画として、「フィールドワークin長島」として、長島愛生園と邑久光明園で、午後1時と3時の2回、歴史的建造物などを巡るフィールドワークを行う。 午後1時から長島愛生園、午後3時から邑久光明園に参加する(あるいはその逆)というように、両方に参加することもできるように、バスの移動手段を確保する。
大島青松園についても、今度、大島青松園当局、同園自治会、高松に新たに結成された支援団体と相談しながら、フィールドワークが実施可能であれば、2日目の5月9日(日)か10日(月)に行うことを検討する。
その際、長島から大島への船での移動も検討する。船なら、長島・大島間は2時間くらいで移動できるそうである。
(2)第2回実行委員会準備会(9月12日)
準備会の進め方について議論を行う。
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ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会(ロードマップ委員会)の日程が、ようやく公開されました。
http://www.mhlw.go.jp/topics/event/monthly.html
一般参加も可能です。在京の方で関心のある方は、ぜひ傍聴してみてください。日時:8月28日(金)午前10時~12時
場所:霞ヶ関ビル35階東海大学交友会館「望星の間」
http://www.tokai33.co.jp/
議題:厚生労働省の上記HPでは、議題は公開されていませんが、今春上記検討会から出た、患者の権利法制化等に関する提言に関する、厚生労働省の取り組み状況の報告が行われるようです。
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一昨日、「栗生楽泉園入所者証言集(1)(2)(3)」(編者:谺雄二、福岡安則、黒坂愛衣、創土社刊)を、編者の方からいただきました。心より感謝します。
本証言集には、栗生楽泉園の入所者の中から選ばれた、16人の「陳述書」と35人の「聞き取り」と2人の「書き下ろし」からなる、総勢50人の証言が掲載されている、とても大部で貴重な記録となっています。
編者の言葉として、つぎのように述べられています。
「本証言集では、ただひとつの「歴史的真実」を追うことはしていない。さまざまな異論があるという形で、こうした語りをそのまま掲載している。当事者の語りは、過去の出来事についての語りであると同時に、現在を示す語りでもある、そのような記憶をもって当事者が現在を生きていること、言うなれば「主観的現実(リアリティ)」を再現するのが、まずもっての目的である。」
長島愛生園歴史館でも、田村学芸員が、あらたに入所者20人以上から聞き取りを行い、DVDに収録。歴史館2階映像室で、映像証言集という形で、視聴することができるようになっており、さらに聞き取りを進めています。
又、ハンセンボランティア「ゆいの会」には、国賠訴訟を担当した弁護士や検証会議での被害実態調査の際に、聞き取り調査を担当したソーシャルワーカーが運営委員や会員として加わっており、また県の依嘱を受けた社会復帰支援員としての長島愛生園や邑久光明園での日々の活動のなかで、入所者から聞き取りも行い、邑久光明園の「楓」誌に聞き取りを掲載するなどの活動もしています。
「ゆいの会」でも、それぞれの入所者の生きてきた記録を、今回のような証言集の形で残す取り組みができないかと考えています。
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足守川パイプライン計画見直しへ 中国四国農政局
中国四国農政局(岡山市北区下石井)は18日、同市などを流れる足守川沿いに農業かんがい用パイプラインを建設する計画について取りやめも含めて見直す、と発表した。環境保護を求める地元住民の反対などもあった計画は1998年の決定から11年で大きな転換点を迎えた。
約8キロのパイプライン敷設は、農林水産省の「国営岡山南部土地改良事業」の一環。同市南西部の児島湾干拓地などで稲作に必要な水量を安定的に確保するため、総社市の用水路を岡山市などの用水路に直結させて配水する計画。中止を求める訴訟は昨年9月、住民側の敗訴が確定したが、受益地区の農地の減 少といった情勢の変化を受け、見直しを決めた。
(以上、本日の山陽新聞より http://svr.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2009081900091877/)
足守川パイプライン計画の中止を求める住民訴訟は、山崎博幸弁護士、山本勝敏弁護士と三人で原告弁護団を結成し、岡山地裁、広島高裁岡山支部と、工事中止の科学的な正当性を主張立証してきたが、住民側敗訴となった。
最終的には昨年9月に、最高裁で上告棄却となり、訴訟は終結したが、ようやく、国も、足守川パイプライン計画の中止を求めてきた、長年にわたる住民らの訴えの正当性を認めざるを得ない状況となった。