"日記"カテゴリーの記事一覧
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11月5日、6日、第52回 日弁連人権擁護大会が和歌山市で開催され、参加してきました。
5日は午後から、3つの分科会があり、6日は大会が開催され5つの宣言案と2つの特別報告等の審議が行われました。
分科会は、「いま表現の自由と知る権利を考える~自由で民主的な社会を築くために~」(第1シンポジウム)、「ストップ地球温暖化~HOTな心でCOOLな選択を~」(第2シンポジウム)、「安全で公正な社会を消費者の力で実現しよう~消費者市民社会の確立をめざして~」(第3シンポジウム)。
6日の大会は、日弁連の2008年度下期から2009年度上期までの事業活動報告、各分科会からのシンポジウム結果報告のほか、日弁連からの特別報告(①日本の人権保障を国際標準にするために!-国際人権諸機関の勧告を、今こそ実現するとき-」と、②「人権のための行動宣言2009」の策定について)が行われた。
さらに、①取調べの可視化を求める宣言案、②表現の自由を確立する宣言案、③地球温暖化の危機から将来世代を守る宣言案、④消費者被害のない安全で公正な社会を実現するための宣言案、⑤「人権のための行動宣言2009」のもと人権擁護活動を一層推し進める宣言案の、5つの宣言案について、活発な議論がなされ、いずれも賛成多数で採択された。
来年開催地は、岩手県盛岡市で、10月7日(木),8日(金)と決定された。
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10月9日(金)、岡山市で、第63回中国地方弁護士大会が開催された。
午前中、「食の安全・安心を考える」をテーマにしたシンポジウム。
午後からは、以下の3つの議題・1つの宣言・2つの決議の提案と審議が行われた。
「子どもと非監護親との面会交流実施機関の設置を求める議題」(鳥取県弁護士会)
「「労働と貧困」問題を解消するため、最低賃金制度の抜本的改正を求める議題」(島根県弁護士会)
「公共交通の充実を求める議題」(岡山弁護士会)
「食の安全の実現を目指す宣言」
「死刑確定者と再審請求弁護人との秘密交通権の侵害を許さない決議」
「司法修習給費制廃止反対等の決議」
例年どおり、活発な討論が行われ、司法修習給費制廃止反対等の決議では、「当連合会は、国会、内閣及び最高裁に対し、2010年11月1日から実施される予定の修習資金を国が貸与する制度(貸与制)を廃止し、給費制を復活することを求める。」とした原提案に対し、「さらに、日本弁護士会連合会に対し、当連合会及び全国の弁護士会並びに全国の弁護士の声を聞き、ともに関係各機関に対しこれを働きかけることを求める。」ことも加えるべきとする修正動議が出され、賛成多数で修正動機が可決された。
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10月5日、6日は、日弁連会館で開催された国際人権セミナーと参議院議員会館で行われた院内集会出席のため上京した。
10月5日13時~19時まで、日弁連会館2回講堂クレオで、アジア太平洋国内人権機関フォーラム(APF)と日弁連の共催で、国際人権セミナー「拷問等禁止条約選択議定書と国内人権機関の役割」が開催された。いずれも拷問禁止条約選択議定書上の国内拷問防止メカニズムと、国内人権機関の役割の二つがテーマであった。
「拷問禁止委員会の総合所見への日本政府の対応」(外務省総合外交政策局人権人道課課長)
拷問等禁止条約選択議定書批准の意味-拷問防止小委員会(SPT)の経験から(Ms.Silvia Casale)
拷問等禁止条約選択議定書上の国内拷問防止メカニズム(Mr.Mark Thomson)
国際規格に応えた国家人権委員会(Mr.Kieren Fitzpatrick)
国内人権機関/国内防止メカニズムと拷問等禁止条約:ニュージーランドの経験(Ms Susan Biggs)
フィリピン国家人権委員会とその期待される役割(Ms Leila M.De Lima)
以上の各報告のあと、上記の報告者に、日弁連委員の田原裕之氏を加え、パネルディスカッションが行われた。
翌10月6日も10時から12時まで、参議院議員会館で日弁連の国内人権機関実現委員会のメンバーらと海外からの講演者との意見交換会が行われ、日弁連が昨年11月に発表した国内人権機関に関する要綱案について、海外からの報告者から海外でのプラクティスに基づき意見をいただき有益な意見交換を行った。
12時から2時まで、日弁連委員、NGO団体らが参加して院内集会が開催された。福島瑞穂大臣も参加され、政府として国内人権機関の設置や、選択議定書の批准について、積極的に取り組みたいとの積極的な意思表明をされた。
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一昨日(24日)と昨日(25日)、日弁連の「国内人権機関実現委員会」に出席のため、上京。
24日は夕方からNGOとの勉強会。25日は朝から、国内人権機関実現委員会の全体委員会。
千葉景子法相が、17日未明の就任記者会見で、優先課題として、①国内人権機関の創設、②個人通報制度、③取調べの可視化に取り組みたいと表明された。
こうした動きも受け、委員会では、国内人権機関創設に向けた取り組みの在り方についての検討が行われた。
これらは、いずれも、昨年5月の国連人権理事会の普遍的定期的審査の第1回審査とそれに基づく勧告、同じ10月の国連人権(自由権)規約委員会の定期審査とそれに基づく総括所見において、日本政府に対し、提示されていたものです。
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私がもう一人の弁護士とともに、岡山地裁、広島高裁岡山支部、最高裁と争っていた、ある傷害致死事件(否認事件)。
この事件において、弁護側が行った私的鑑定の費用の支払いを法テラスが拒否した件について、岡山弁護士会が、2009年(平成21年)8月24日付で、日本司法支援センター(法テラス)の国選弁護の報酬及び費用の支払いに関する会長声明を発表しました。http://www.okaben.or.jp/iken/20090824.htm
(会長声明)
本年5月21日から従来からの国選弁護制度に加えて、被疑者国選弁護制度の対象事件が大幅に拡大し、当会を含む全国の多くの弁護士が、国選弁護人として憲法で保障された被疑者及び被告人の権利擁護のために全力を尽くしているところである。
2006年10月2日には、日本司法支援センター(以下「法テラス」という。)が、国民の司法へのアクセスを保障し、「法の支配」を社会の隅々にまで行き渡らせ、自由で公正な社会を形成することを目的として、その業務を開始した。
刑事事件の国選弁護人に対する報酬及び費用に関しては、事件終了後、国選弁護人が法テラスへ報酬及び費用請求を行い、法テラスにおいて、国選弁護人に対する報酬及び費用の支払いの可否及びその額を決定し国選弁護人へ通知するというシステムとなっている。
これに関連して、先般、捜査段階から一貫して被告人が否認している傷害致死事件の控訴審において弁護を担当していた国選弁護人(当会所属弁護士)が、法医学者に依頼して作成させた私的鑑定書の作成費用及び同鑑定書と一体となったレントゲン写真複写やカルテ取寄等の費用の支払いを法テラスに求めたところ、法テラスが、支払い項目にないという理由により支払いを拒否するという事案が生じた。同事案にあっては、検察官からは複数の鑑定が提出され証拠採用されており、弁護人提出の上記私的鑑定書も証拠採用されている。
刑事事件において、真実を発見するために、専門家の鑑定を必要とすることはしばしば生じる。本件におけるように否認事件で、検察側から複数の鑑定が提出されているような場合には、弁護側において検察側鑑定書の信用性を弾劾するために、専門家による私的鑑定書を提出する必要性は一層高まるといえる。
しかるに、私的鑑定費用等について支払いがなされないのでは、その依頼を断念せざるを得ないことになり、国選弁護における弁護活動が著しく制約されることは自明である。その結果、真実発見が困難になることはもとより、憲法及び刑事訴訟法で保障された「弁護を受ける権利」の保障が不十分なものとなりかねないのであって、誠に憂慮すべきことである。
当会は、私的鑑定費用等について、国選弁護に伴う費用として支払うことが可能となるよう法テラスにおける運用の適正な見直しないし所要の法令等を改正する手続きを速やかになすよう関係方面に対し強く求めるものである。
2009(平成21)年8月24日 岡山弁護士会 会長 東 隆司
法テラスの支払い項目では、刑事記録の謄写費用や遠距離接見等交通費・出張旅費が定められていますが、これも一部しか支払われません。
それ以外には、訴訟準備費用として、①診断書作成料、②23条照会の利用料、③判決書謄本の交付手数料につき、総額3万円を限度として実費が支給されるだけです。しかし、これでは、国選弁護人が、被告人のための十分な弁護活動ができないことは明らかです。無罪、冤罪を争う事件で、国選弁護人が、法医学者等に私的鑑定書の依頼作成し、裁判所において弁護側証拠として証拠採用されたとしても、一切、その費用は支払わないというのが、現在の日本司法支援センターの見解です。
従って、国選弁護人は、鑑定費用等については持ち出しを覚悟して、被告人のために、弁護活動を尽くすか、それともそうした立証活動を断念するかの二者択一を迫られます。その結果、国選弁護人が後者を選択した場合には、経済力に乏しく私選弁護人を選任できない被告人は、憲法や刑事訴訟法で保障されている「弁護を受ける権利」を実質的に奪われるに等しい結果となることが予想されます。
なぜ、国選弁護人の立証活動のための実費として、弁護士法23条の照会利用料と診断書作成料に限定するという不合理な支払い項目ができあがったのか、不思議でなりません。日弁連や各単位会等においても、早急にこのような法テラスの支払い項目の定めが改善されるように、取り組む必要があると考えます。
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足守川パイプライン計画見直しへ 中国四国農政局
中国四国農政局(岡山市北区下石井)は18日、同市などを流れる足守川沿いに農業かんがい用パイプラインを建設する計画について取りやめも含めて見直す、と発表した。環境保護を求める地元住民の反対などもあった計画は1998年の決定から11年で大きな転換点を迎えた。
約8キロのパイプライン敷設は、農林水産省の「国営岡山南部土地改良事業」の一環。同市南西部の児島湾干拓地などで稲作に必要な水量を安定的に確保するため、総社市の用水路を岡山市などの用水路に直結させて配水する計画。中止を求める訴訟は昨年9月、住民側の敗訴が確定したが、受益地区の農地の減 少といった情勢の変化を受け、見直しを決めた。
(以上、本日の山陽新聞より http://svr.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2009081900091877/)
足守川パイプライン計画の中止を求める住民訴訟は、山崎博幸弁護士、山本勝敏弁護士と三人で原告弁護団を結成し、岡山地裁、広島高裁岡山支部と、工事中止の科学的な正当性を主張立証してきたが、住民側敗訴となった。
最終的には昨年9月に、最高裁で上告棄却となり、訴訟は終結したが、ようやく、国も、足守川パイプライン計画の中止を求めてきた、長年にわたる住民らの訴えの正当性を認めざるを得ない状況となった。