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先週末は出張が続きました。
5月25日(金)は,13時から,厚労省で,厚労省担当課と統一交渉団とのハンセン病療養所の将来構想に関する作業部会がありました。
今年の6月22日に行われる,ハンセン病問題対策協議会で議題となる将来構想問題等に関して,意見交換をおこないました。今年の協議会では,入所者がいなくなった後,療養所をどのような形で残し,我が国のハンセン病政策の歴史を伝えていくかも,重要な議題の1つとなります。
その後,14時30分から「ハンセン病療養所の将来構想を進める会」の会議があり,その夜は横浜で泊まり,今年4月から横浜で教師をしている次男,横浜で弁護士事務所を開業している友人と合流して,食事をしながらしばしゆっくりと時間を過ごしました。
翌26日(土)は,13時から,大阪市内で行われた原爆症認定訴訟弁護団会議に参加。原爆症集団訴訟終結後において,新たなに原爆症認定基準の下で大量に申請却下されている被爆者を救済するためあらたに各地で提訴している原爆症認定訴訟の弁護団が集まり,現在の各地の状況や今後の進め方などについて意見交換を行いました。
27日(日)は,岡山市内で開催された,東神戸診療所の郷地秀夫医師による内部被曝の講演会に参加しました。
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5月24日(木)と5月25日(金)の,午後6時15分からのRSK山陽放送のイブニングニュースで,先日の青森市を中心に開催されたハンセン病市民学会を取材した特集番組が放映されるそうです。
RSK 山陽放送 テレビ番組表 5月24日(木)
24日(木)は,ハンセン病市民学会に参加した長島愛生園の宇佐美治さんなど,学会参加者の話なども織り交ぜながら,当日の市民学会の様子を伝える。
25日(金)は,国立療養所長島愛生園の将来構想の現状に加え,松丘保養園で進めている市民との共生をめざす将来構想の取組みについて取り上げる。 -
5月18日(金)16時30分から,鳥取地裁で,ハンセン病・非入所遺族訴訟の第9回口頭弁論が開かれました。
今回,原告側は,第6準備書面を提出しました。同書面は,原告を含む非入所者の子の被害の内容及びその被害はハンセン病隔離政策による政策被害であること,並びに,かかる被害を生じせしめた被告ら(国,鳥取県)の注意義務違反について検討したものです。
被告国・鳥取県からは,第3準備書面が提出されました。2010年4月の提訴から2年を経過して,ようやく反論の書面を提出してきましたが,その内容は,ハンセン病隔離政策による非入所者の家族には固有の被害を認めず,仮に損害があったとしても,非入所者に生じた損害賠償請求権を承継したものも,原告固有の損害賠償請求権も,平成14年1月29日からそう期日をおかない頃に,いずれも消滅時効が成立しているなどという内容です。
被告らの主張の要点は,次のとおりです。
「原告の亡母に関して生じた損害とは別に,原告に固有の損害は発生したことを裏付ける具体的な事実があったとは認められず,仮に原告が主張する事実が認められるとしても,それをもって原告に固有の損害が生じたものと評価できるものではない。」
「また,原告において亡母に生じた損害賠償請求権を相続により承継したものに加え,仮に固有の損害賠償請求権を有しているとしても,それらの各損害賠償請求権は,いずれも既に時効により消滅していることから,原告の請求は理由がない。被告らは,本準備書面において上記消滅時効を援用する。」
消滅時効の起算点については,つぎのように主張している。
「平成14年1月28日には,ハンセン病療養所への入所歴のない者をも対象として基本合意書Ⅱに沿った合意がされ,その事実が原告が居住する鳥取県内においても広く報道されていたのであって,一般人であれば,ハンセン病療養所への入所歴ない者をも対象とする基本合意書Ⅱに沿った合意が締結された旨の報道に接すれば,亡母と同様に入所歴のないハンセン病患者又は元患者との関係(それらの承継人又は親族との関係も含む。)においても,国の隔離政策等が違法であったことを認識できたというべきである。」
「原告の場合においても,平成14年1月29日からからそう期日をおかない時点で,報道等を介して基本合意書Ⅱに沿う合意が成立した事実を知ったものと推認するのが相当であって,その時点で国及び県の加害行為は違法であることを認識できたというべきである。」
「ただし,被告らは,上記消滅時効の援用にかかわらず,平成14年1月28日,被告国とハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会との間において成立した基本合意の内容に沿って,原告の間において和解を行う意思があることを念のために申し添える。」
原告側は,次回に,被告らの第3準備書面に対する反論の準備書面を提出する予定です。
(今後の予定)
第10回口頭弁論 7月13日(金)16時~
第11回口頭弁論 9月12日(水)10時~
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ハンセンボランティア「ゆいの会」では,国立療養所長島愛生園と邑久光明園の入所者と一般市民との架け橋となる,ボランティアを養成するための講座を,6月9日から開講します。
チラシは,第11回ハンセンボランティア養成講座
ハンセンボランティア「ゆいの会」については,ハンセンボランティア「ゆいの会」の活動を振り返って(2010) をご覧ください。
「島は語る 隔離の象徴としての“島”を再認識し,心の架け橋を架ける」(ハンセン病市民学会年報2010) 解放出版社(1800円+税)のなかの,「ハンセンボランティアの現状と課題」でも,当会の活動を紹介しています。
申込み方法等は,チラシをご覧ください。とりあえず講座だけでもうけてみようと思われる方も歓迎です。
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5月15日午後6時30分から,岡山市のきらめきプラザで,【障害者自立支援法を廃止し,総合福祉法の制定 国は「基本合意」を守れ! 岡山フォーラム】(主催:自立支援法違憲訴訟岡山元原告 自立支援法違憲訴訟岡山弁護団 自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす岡山の会)がありました。
自立支援法違憲訴訟は,国との基本合意ができ,訴訟を取り下げたが,基本合意が反故にされそうな事態になっており,いわゆる政策形成型訴訟と呼ばれる訴訟を闘ってきた,各弁護団に共闘を呼びかけ,今回のフォーラムが開催されました。
自立支援法違憲訴訟弁護団の呉裕麻弁護士の報告などのあと,ハンセン病違憲国賠訴訟瀬戸内弁護団,原爆症認定訴訟岡山護団,中国残留孤児国賠訴訟岡山弁護団が連帯の決意表明を行いました。
原爆症認定訴訟弁護団からは私が,ハンセン病違憲国賠訴訟弁護団からは井上雅雄弁護士が,残留孤児訴訟岡山弁護団からは則武透弁護士が,それぞれ連帯の決意表明を行いました。
5.15障害者自立支援法廃止の基本合意約を守れ!岡山フォーラム | 岡山県労働組合会議
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第8回ハンセン病市民学会は,12日の総会に引き続き,13日には,青森市,登米市で,分科会等が開催されました。
朝日新聞デジタル:ハンセン病療養所 将来のあり方探る-マイタウン宮城
河北新報 東北のニュース/ハンセン病、療養所と地域の共生探る
青森などで全国集会市民学会が閉幕 元患者の事件を検証 2013年は熊本-ハンセン病│くまにちコム -
第8回ハンセン病市民学会が,5月12日(土)で青森市で始まり,13日(日)には東北新生園と松丘保養園に分かれて分科会が開催されました。
今年は,5月12日開催された,岡山弁護士会・2011憲法記念県民集会の実行委員長となっていたため,参加できなかったのは残念でした。
ハンセン病:「全ての差別解消を」 市民学会で療養所入所者訴え−−青森 /青森- 毎日jp(毎日新聞)
ハンセン病市民学会始まる/青森/Web東奥・ニュース20120512214021
青森市でハンセン病市民学会 - NHK青森県のニュース
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5月12日(土)岡山弁護士会主催(日弁連,中弁連共催)の2012憲法記念県民集会が,さん太ホールで開催され,約200名が参加しました。実行委員,執行部,弁護士会事務局の方々には,お世話になりました。改めて感謝します。
第1部では,甲山事件のえん罪被害者山田悦子さんと甲山事件の弁護人であった上野勝弁護士により,山田さんが,捜査官との力関係のなかで,どのようにして虚偽自白に追い詰められていったか,その間の苦悩について語りました。平凡に誠実に生きてきた人がいきなり無実の罪の疑いを掛けられ犯人に仕立て上げられていく過程に改めて胸を打たれました。
第2部では,当事者のお話を受けて,上記お二人に,安原浩弁護士,浜田寿美男奈良女子大学名誉教授,小坂井久弁護士の3名の方が加わり,虚偽自白が生まれるメカニズムや,我が国の刑事裁判において供述調書が重視されこれがえん罪を生む原因の1つとなっていること,こうしたえん罪を防止するためには,取調べの全過程の可視化が重要・不可欠であること,そして裁判員裁判が始まったことや村木事件無罪判決などにより検察神話が崩れてきたことなどを契機にして,とりわけ2011年以降,我が国における取調べの全過程の可視化に向けた動きが始まっていること等,について活発な議論が交わされました。
すでに多くの国で,取調べの可視化や弁護人の取調べ立会権などの制度が確立しており,我が国においても,取調べの全過程の可視化の実現は刑事司法改革の重要な柱となっています。
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岡山弁護士会主催(日弁連,中弁連共催)の2012憲法記念県民集会「取調の可視化実現を目指して」が開催されます。
第1部は,山田悦子氏(甲山事件えん罪被害者),上野勝氏(甲山事件弁護人)が,「甲山事件」において,無実である山田氏が,捜査段階で自白をするに至った経緯等について振り返ります。
第2部には,安原浩氏(弁護士,元広島高裁岡山支部長),浜田寿美男氏(奈良女子大学文学部教授,心理学者),小坂井久氏(弁護士,日弁連取調べの可視化実現本部副本部長),上野勝氏,山田悦子氏が,①無実の自白が生まれるメカニズム,②我が国における取調べの現状,③捜査の可視化の必要性,④可視化の見通しなどのテーマについて議論をします。
私は,第2部のパネルディスカッションのコーディネーターをします。
(県民集会の日時,場所)
日時:2012年5月12日(土)午後1時30分~4時30分(午後1時開場)
場所:山陽新聞社本社ビル1階 さん太ホール(岡山市北区柳町2ー1ー1)
どなたでも参加できます。無料。
詳細は,岡山弁護士会HP をご覧下さい。
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国立療養所長島愛生園が将来構想の一つに掲げていた,「人権学習のための施設」として活用を期待している施設が完成しました。
以下は,RSK山陽放送ニュースから引用しました。
長島愛生園に新施設が完成 【RSKニュース 岡山・香川】
長島愛生園に新施設が完成
瀬戸内市邑久町長島の国立ハンセン病療養所・長島愛生園に集会所などを備えた新しい施設が完成しました。園が掲げる将来構想の一つ、「人権学習の場」として利用される計画です。
長島愛生園の中心にあたる日出地区に完成した2階建ての建物・日出会館です。
8日行われた落成式には入所者も出席し、会館の完成を祝いました。
長島愛生園は、2008年に成立したハンセン病問題基本法を受け、施設を地域に開かれた場所にするため将来構想の検討を重ねてきました。日出会館は、入所者の利用だけでなく将来構想の一つ、「ハンセン病問題の啓発と人権学習の場」としても利用される計画です。施設は、日出地区の入所者が暮らす近くに完成しました。
1階には、交流の場として設けられた「ふれあいホール」。
また2階には、和室と洋室の多目的室が設けられています。
園を訪れる人にハンセン病問題を語りつぐ場としての活用が期待されています。
その一方で、不安を語る入所者もいます。
長島愛生園の入所者はかつて2000人を超えていました。
現在は297人、平均年齢は82歳を超え、高齢化が進んでいます。
入所者が暮らす団地の一つは、空き家が目立ちます。
およそ30年前、150人の入所者が暮らしていたこの団地も、今では10分の1、15人が暮らしているだけです。
この団地の入所者は、会館が完成した日出地区に集約される計画が進んでいます。
会館が出来たことで、一歩前に進んだ療養所の「将来構想」ですが、入所者の高齢化も待ったなしで進みます。開かれた施設を目指す思いは、複雑です。