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先日,邑久光明園に残る歴史的建造物等の保存について,邑久光明園を訪れ,自治会長及び副会長と協議をしました。
今年6月のハンセン病問題対策協議会において統一交渉団は厚労省に対し,ハンセン病療養所における歴史的建造物保存を強く求めました。
厚労省は,同協議会において歴史的建造物保存等検討会を立ち上げることを約束し,協議会終了後,同委員会が立ち上がりました。
同委員会は,今年度中に,各ハンセン病療養所において将来にわたった保存維持したいと,入所者が考えている歴史的建造物等について意向調査(ヒアリング)をした上で,保存に関する基本方針を決定することになりました。
ハンセン病療養所の中でなにが行われたのか,入所者の方々がどのような生活をしてきたのかを後世に伝えるには,それを伝える歴史的建造物をできるかぎり保存することが必要なことはいうまでもありません。
なにもなくなってしまったあとでは,私たちがかつての姿を想像できることには限界があり,各療養所において歴史保存を図っていくために,努力をしなければならないと思います。
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ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会長などを務められた曽我野一美さんが,11月23日,誤嚥性肺炎のため,85歳で亡くなられました。
25日午後10時半から,高松市庵治町6034の1の国立療養所大島青松園大島会館で,告別式が行われます。
曽我野さんは,1947年に大島青松園に入所され,その後,全国ハンセン病療養所入所者協議会の会長を,二度にわたり歴任され,「らい予防法」の廃止に尽力されるとともに,1998年の熊本地裁,1999年の東京地裁,岡山地裁に相次いで提起されたハンセン病違憲国賠訴訟の全国原告団協議会会長に就任し,原告団をまとめ,訴訟を勝利に導く上でとても大きな役割を果たされました。
ご冥福をお祈りします。
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国立療養所沖縄愛楽園に,来年,ハンセン病資料館が新築されるそうです。
運営の詳細はまだ分かりませんが,ぜひ,長島愛生園歴史館のように,土日などにも市民の方々が利用できるよう,市民ボランティアにも,資料館運営に加わって欲しいと思います。
沖縄タイムス | 愛楽園資料館が来年11月開館
国立ハンセン病療養所・沖縄愛楽園(名護市)が、国による強制隔離政策の歴史を伝える資料館を、来年11月に開館することが20日までに分かった。東日本大震災の影響で国の予算計上が遅れ、ようやく建設計画が固まった。全国13カ所の国立療養所で、資料館を新築するのは初めて。愛楽園の将来構想の柱をなすだけに、準備を進める入所者自治会は「長年の隔離で患者の尊厳が奪われ、沖縄戦で多くが犠牲になった事実を伝えたい」としている。(新里健) -
11月13日,広島高裁岡山支部で,原爆症認定岡山訴訟(川中訴訟)が結審しました。
この日は,杉山雄一弁護士,奥津晋弁護士,藤原精吾弁護士の3名の意見陳述につづいて,川中さんが,最後の意見陳述を行いました。
「2010年の6月に控訴して以来、2年と4ヵ月が経過しました。
思い起こせば、2010年6月16日の判決が下される日、“当然の勝訴”を確信しておりました。しかし被爆者援護法の精神である「被爆者の心に寄り添った」判決にはならなかったどころか、2003年に集団訴訟へ踏み切った以前の基準に逆戻りした判決でした。判決文に目を通しながら、心が寒々としてきたのを覚えた日でもありました。長い年月をかけて命をも犠牲にして闘い続けてこられた多くの被爆者の気持ちを踏みにじられた思いがしました。原爆が、人間の尊い命を、心を、暮らしを、いかにむごい、そして悲惨な、どんな言葉をもっても表現することのできない状態にしていることを理解してもらえなかったのです。私達被爆者の心からの叫び、命がけの訴えに耳を傾けてもらえなかったのです。
その後、多くの知人や被爆者の方々から電話や手紙があり、判決に対する怒りの声、励ましの声が届きました。私の周りの被爆者だけでなく、全国の被爆者、あの日、あの地獄の中から、やっとの思いで助かった人たちが、再びあの日の地獄に引き戻された気持ちにさせられたのです。私のなかで、「これで終わってはいけない」という気持ちが次第に強くなり、被爆者の心からの声をもっと伝えたい、それと同時に、私は絶対に被曝しているのだ、という思いを強く訴えたいと、控訴にふみきりました。
いよいよはじまった、第一回目の控訴審。しかしながら、公判の3日前におきた東日本大震災、そしてその後の福島第一原発事故。それは67年前の「ヒロシマ・ナガサキ」が重なり合った瞬間でもありました。その日以来、私は「福島の人たちは、適切な処置をしてもらえているのだろうか」という思いに駆られ、健康を害して寝込んでしまいました。私たち被爆者は、適切な処置をしてもらえず、正しいことが正しく伝えられていませんでした。そのことが繰り返されてはいないだろうか、色々な思いの中で、一層体調が悪くなり、とうとう入院する結果になりました。福島の人たちへの思いを力に控訴審を闘ってきましたが、二度にわたる証人申請を「必要なし」とされ、公正な審理となっていないことに対しての忌避申し立て文書も、拒否されてしまいました。証人を採用していただけなかったことが、もっとも心残りとなっています。
67年前のあの日、尊い命を一瞬にして奪った恐ろしい「原爆」。あのきのこ雲の下で何が起こったのかを、わたしたち生き残っている被爆者は、世の中の人々に伝えていかなくてはなりません。そのために生かされているのだとも思っています。そのような思いで裁判に臨んできたのです。まさに「命がけの闘い」と言っても過言ではありません。
あの日から67年、まだ苦しみは続いています。被爆者がなぜ、こんなにも苦しみながら生きなければならないのか。どうぞ、被爆者の苦しみを理解した上での判決を、よろしくお願いします。」
岡山訴訟の経過は,以下のとおりです。
『原爆症認定集団訴訟 たたかいの記録(第1巻 報告集)』(日本評論社)http://www.nippyo.co.jp/book/5674.html の403頁~405頁にも,岡山訴訟の経過を紹介しています。
2006年11月2日,岡山地裁に提訴
2010年6月16日,判決(敗訴)
2010年6月23日,広島高裁岡山支部に控訴
2012年11月13日,控訴審結審
控訴審判決は,広島高裁岡山支部(片野悟好裁判長)において,来年(2013年)3月21日(木)午前11時と決定しました。
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明日(11月9日)午後5時から,岡山弁護士会館で,国選弁護プレシンポ「身体拘束からの早期解放を求めて〜日韓制度比較より〜」が開催されます。
日時:2012年11月9日(金)午後5時~8時(開場:4:30)
場所:岡山弁護士会館2階大会議室
参加:無料,一般市民の方の参加自由
李東熹(リ・ドンヒ)教授(韓国・国立警察大学)から,近年における韓国におけるめざましい刑事司法改革の動きおよびその具体的な制度について,パワーポイントを使って分かりやすく講演していただきます。
李教授は,三井誠教授(刑事訴訟法)の下で刑事訴訟を研究し、リベラルな立場から 日韓の刑事司法について研究をされています。
また当日は,事前に韓国調査に参加した弁護士からの現状報告,李教授を交えたシンポジウムが行われます。韓国の近年のめざましい刑事司法改革から,学ぶべきことも多いと思います。
日本の捜査や刑事司法の現状をふまえ,今後の我が国の刑事司法のあるべき姿についても議論をします。
刑事裁判等に関心を持っておられる,一般の市民の方々にも是非参加してもらいたいと思います。
11月9日のプレシンポの詳細は,岡山弁護士会の下記HPをご覧ください。
http://www.okaben.or.jp/news/index.php?c=topics_view&pk=1346725923
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11月5日,東京都内(「科学技術館」)で,「いまハンセン病療養所のいのちと向き合う! 実態を告発する市民集会」が開催され,約450名を超える市民が結集しました。
集会では,回復者,全療協,ハンセン国賠弁護団からの訴えが続きました。
入所者の高齢化に加え,ハンセン病特有の障害のために,一層の介護,看護が必要となっているにもかかわらず,国の公務員定数削減の方針の影響をまともに受けて,介護,看護の質が著しく低下し,入所者の人間としての尊厳までもが損なわれる深刻な事態も引き起こされている国立ハンセン療養所の実態を訴えました。
この介護,看護の問題は,ハンセン病療養所においては,まったなしの喫緊の課題であり,80歳代から90歳代というハンセン病回復者が命がけでハンストをし,この状況を変革したいと強い決意をしています。
ハンセン病回復者の闘いに対する,市民一人ひとりの深い理解と支援が,今こそ必要とされています。
毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20121106k0000m040118000c.html -
ハンセンボランティア「ゆいの会」は,定期的に,会の活動内容等を紹介するニュース(会報)を発行しています。
今回,第28号を発行しました。ご覧下さい。ご感想などお聞かせください。まだまだ,活動の幅を広げていきたいと思っています。
今後も,随時掲載していきます。
ハンセンボランティア「ゆいの会」ニュース第28号
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10月29日(土)に,岡山市のアークホテルで開催された,「ハンセン病問題のこれからを考える国際シンポジウム」関連の記事が,毎日新聞と山陽新聞に掲載されました。
シンポジウムのパネリストのブラジルの回復者社会復帰運動「MORHAN(Movimento de Reintegracao das pessoas Atingidas pela anseniase)」の副全国コーディネーターのクリスチャーノ・トレスさんが,「療養所の門の中で何があったのか。どのような生活を送ってきたのかを世界中に公開したい。」と訴えられたのが,とても印象的でした。
ハンセン病療養所を歴史保存することの大切さを強く思いました。
Morhan
http://www.morhan.org.br/
ハンセン病国際シンポ:隔離政策、歴史語る−−岡山・北区 /岡山- 毎日jp(毎日新聞)
ハンセン病隔離政策の実態学ぶ 海外の支援団体が愛生園訪問 - 山陽新聞ニュース -
昨日,10月27日(土)午後10時,岡山市内のアークホテルで,「ハンセン病問題のこれからを考える国際シンポジウム」(愛生歴史館,笹川記念保健協力財団主催,ハンセンボランティア「ゆいの会」協力)が開催されました。
200名が参加してくれました。本日の山陽新聞と毎日新聞の朝刊にも記事が掲載されています。山陽放送など各社も取材に来てくれていました。
長島愛生園藤田邦雄園長の開会挨拶があり,その後,私から,「日本におけるハンセン病問題の歴史保存とその活用」と題して基調報告をしたあと,参加した4か国の研究者,医師,回復者によるシンポジウムを行いました。
マレーシアのスンゲイブロー療養所,フィリピンのクリオン療養所,ブラジルの療養所の歴史及び現状,歴史を保存し後世に伝えるためのNPOなどの精力的な取組み,国を超えた世界遺産登録をめざす動きなどが報告されました。
今後の「ゆいの会」の取組みを考えるうえでも,とても有益なシンポジウムでした。
参加者は,以下の方々です。
コーディネーター 国立ハンセン病資料館 黒尾和久学芸課長
マレーシア工科大学上級講師 Dr Lim Yong Long (リム・ヨン・ロン)氏
フィリピンクリオン療養所総合病院長Dr Arturo Cunanan Jr(マルトゥーロ・C・クナナン・ジュニア)氏
ブラジルの回復者社会運動MORHAN全国コーディネーター Mr Artur Custodio Morreira de Sousa(マルトゥール・クストディオ・モレイラ・テ・ソウサ)氏
ブラジルの回復者社会運動MORHAN副全国コーディネーター Mr Cristiano Torres(クリスチャーノ・トレス)氏
マレーシア工科大学博士課程 Ms Lim Jing Jing(リム・ジン・ジン)氏
オーストラリア クイーンズランド大学講師 Dr Jo Robertoson(ジョー・ロバートソン)氏
会場には,若い世代の方々がたくさん参加されており,ハンセン病問題についての各国の状況報告により,新たな刺激を受けたのではないかと思いました。
シンポジウムの写真は,こちら
http://blog.canpan.info/hansenbyo/archive/52